西吾妻山、西大巓



-- 『AQUOS SENSE With GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 昨晩は天元台ロープウェイの湯元駅駐車場に車中泊。
 この駐車場はロープウェイの索道のほぼ真下に作られている。一般的には安全管理の観点からこういった設計にはしないとは思う。索道のど真ん中は流石に停められないようになってはいるものの、まさに頭上をゴンドラが行き来するといったあんばいなのだ。

 駐車位置を決め、片付けなどをしているうちに最終の便が山頂駅から戻って来た。
 降りて来た登山者が三々五々、車に乗り込み帰っていく。喧噪が鎮まると同時に傍らの沢音が急に大きくなる。日差しが急激に弱くなり辺りが夕闇に包まれていった。

 車中泊組は意外に少なく自分以外に数台もあっただろうか。ドライバー無く取り残された車の主は恐らく山中で一泊組なのだろう。

 目の前の砂利林道を登ると新高湯温泉がある。標高の高い所にポツン一軒宿でまさに秘湯と言えよう。HPを見ると、露天風呂(標高1126mイイフロ)からの絶景は一度は入ってみたいと思わせるものがある。ごくまれにこの林道を走り去るタイヤの音も絶えればいよいよ静寂の夜が訪れる。

 静けさと標高のもたらす涼しさに快眠を貪った。だが早朝から動きがあった。続々と登山者の車が集まり始めたのだ。8時始発(土日)のロープウェイに乗る為の行列が既に7時過ぎには出来ていた。結局始発は早まって8時前、自分が乗ったのが二便の8時発であった。

 随分と混雑していると思いきや、実はサービスデーだったらしく、通常3,800円のロープウェイ+リフトの往復券が今日は2,500円プラス手ぬぐいと玉こんにゃく汁、白府温泉八湯のタダ券付きの特典だ。登山者は地元の人が多く山形弁で訥々と今日の賑わいについて語る人多数。何も知らずに来たのはどうやら自分くらいのようである。

 結局手ぬぐいはGetしたものの、玉こんにゃく汁は品切れで代替えのお茶一本となり、温泉は今晩の泊地への移動時間を考慮してパスとした。だが料金がこれだけ安いのは大いに有難い。

 人流整理の係員も居ないまま混沌とした並びの中でようやくチケットを購入するも、次はどこに並べばよいか判らない。自分の前にチケットを買った人の顔を思い出してそちらを見ると、数人の団体さんが列尾にくっついているではないか。聞けば、「今代表がチケットを買っている最中」という。自分の直前の人が機転を利かせて、「この人のほうが先にチケット買ったんだから先よ」と助け船。お陰で次の便にならずに済んだ。この流れってあれだな、スキー場でリフト待ちしている時にスキーの先っちょを如何に人より素早く前に出した者勝ちみたいな。いわゆる意思の強い者勝ちの世界( ;∀;)

まずは天元台ロープウェイで一気に標高差400mを獲得

そのあとリフト三本を乗り継ぎ最終的に標高1820mまで進む 楽ちんだが風に吹かれて少々寒い

標高を上げると幾らか樹々の色づきも見られるようになる

 リフトが気絶しそうなくらいに遅い!
 安全配慮故なのは解るが、乗るたび降りるたびに一旦停止するものだからなかなか先に進まないのだ。
 結局一本目のリフトに乗ったのが8:13で三本目を降りたのが8:57だから45分近くかかったことになる。もっとも歩けば1時間40分がコースタイム。標高差470mを汗一つかかずに獲得出来るのだから流石文明の利器というか、コストかけただけのことはあり。何はともあれありがたや。

最終リフトを降りていざ登山開始 朝露がまとわりつく笹道を行く

 序盤はしっとりと露を含んだ山道を徐々に標高を上げていく。滑りやすい石が散在する登山道には所々水たまりや泥濘などもあり意外と歩くのに気を遣う。
 三角点ピークである中大巓の南を巻くようなルートを登っていく。ふと、脇にある中大巓の高みが気にもなるが辺りは強固な灌木藪で覆われているので踏み込むのは積雪期を除きかなり難しいような雰囲気だ。これから向かう西吾妻山も西大巓も共に三角点の無いピーク故になんとなく取りこぼしのような気になる。突破口になるような踏み跡でもと思って目を凝らしていたがついに発見することは出来なかった。

傾斜が緩み1930m付近で眺望が開けた 上空は青空だが流れ行くガスは多い

西吾妻山の頭上にもガスがしきりと通り過ぎていく

一旦南に向け下降する しばらくは池塘の草紅葉を見ながら木道歩き

振り返り、たおやかな山姿の中大巓 周囲はこのようにのっぺりした山が多い

木道が切れて一登りすると眺望の良い汎天岩へ到達

眺望が無い西吾妻山の山頂

 凡天岩から天狗岩のある広場を経て一登りで西吾妻山の山頂へ。
 山頂は眺望は全く無い。樹に囲われたスペースで山名板ならぬ柱が一本立つだけである。
 那須の白笹山といい勝負かな。白笹山は通過点といった趣だがこちらにはかろうじてピーク感はある。
 何せ日本百名山だからね。いや、むしろ吾妻連峰全体を百名山としたかったのかな、深田さんは。

西吾妻山から少し下る 西大巓へ向かって登山道は続く

 130m程下げて80m登り返し。程登山道が小さく綿々と続く。うーーむ大変そうだな。
 数字的には大したことは無いのだが、自分はどうもこういう丸見えのルートを見ると戦意喪失する癖がある。
 だが気を取り直してリスタートだ。

行く手を覆うガスが濃くなってきた

振り返ると西吾妻山の方角は割とすっきりしている

西大巓山頂に山名板は無し 三角点では無いが標柱のようなものあり

 西大巓の山頂はかなり広いがそれでも沢山の登山者で賑わいを見せていた。天元台ルート以外にも南側のグランデコから登ってくる人もいるようだ。皆ガスの切れ間の絶景を一目見んと腰を据えて休憩中である。自分も多少滞在するもどうにもガスは切れる様子無し。まだまだ余裕はある筈だが下りリフトの最終時間に遅れると厄介なので早々に山頂を後にすることにした。

 眼下に拡がる湖や会津の山並が揃う絶景を是非見たかった。だがこればかりは運。次回は木道の周りに花が咲き誇る雪解け後の初夏が良いかもしれないな。

秋元湖や小野川湖が綺麗に見える筈なのだが残念 これが南側のベストの眺望

ガスの切れ間から見える帰るべき路 まるでスポットライトが当たっているようだ

天狗岩まで戻ってきた 吾妻神社の岩屋が風雪に耐える

展望の無い西吾妻山だから、天狗岩の広場で憩う人も多い

帰路は中大巓の東へ廻りこみ北側を巻くルートを行く 途中の人形石 大きさ比較の為ザックを置いてみた

人形石の東側には藤十郎や東大巓へと続く稜線が続く いつかは歩いてみたいものだ

米沢の街並みを眺めながらリフトを下る 天気が良ければ月山まで見えるらしい

 下りもまた牛歩のリフト。登りのリフトでも来ていたフリースをザックから引っ張り出してジッパーを胸元まで引き上げる。汗ばんでいた体もロープウェイの乗客になる頃にはすっかりフリースのぬくもりに包まれていた。

西吾妻スカイバレーから望む磐梯山と桧原湖 夕方の日差しが優しい

 絶景登山とは少し違ったが、奥座敷のような天空パラダイスを垣間見た本日の登山。
 実質標高差200m程度の高地散歩。実際は登ったり下ったりで累積標高差はそれなりにあった筈だが、やはり乗り物を使って踏み入れる標高2000mエリアの散歩は楽しかった。

 今まで登った山のなかでは会津駒ケ岳がやや近い気もするがやはり違うな。いろんなタイプの山、という意味で新たな経験をすることの出来る一日であった。

概略コースタイム

リフト最上部発(08:58)-大凹水場(09:47)-凡天岩(10:15)-西吾妻山(10:43)-西吾妻小屋(10:53)-
西大巓(11:30)-西吾妻小屋(12:17)-天狗岩(12:32)-凡天岩(12:43)-大凹水場(13:04)-
人形石(13:31)-リフト最上部着(14:09)

カシミール3Dデータ

沿面距離:9.5Km
所要時間:5時間11分

カテゴリー: 福島県の山, 車中泊の旅   パーマリンク

4 Responses to 西吾妻山、西大巓

  1. リンゴ より:

    ロープウェイ2500円とはお得でしたね。
    自分はJAF会員証提示による1割引きだけでした。
    東北の山の奥深さが味わえるこのコースからの西吾妻山。
    自分も花咲く初夏の再訪を狙っています。

    • まっちゃん より:

      チケット購入時に「え!3800円じゃないですか?」と聞いちゃったんですが、
      窓口のおじさんに「だからぁ、そこに書いてあるでしょう。今日はイベントなんですよ!」
      って怒られちゃいました。同じこと聞く人が沢山いたんですね。

      この辺の山容は遠目に見るとのっぺりした感じですが、歩くとなるとなかなか稜線伝いというわけにも
      いかず案外骨が折れそうですが、やはり山深さは魅力ですね。

  2. せろーG より:

    5年ぐらい前に グランデコスキー場からスノーシュー初体験で 西吾妻山、西大巓 モンスターを見に登ってきました。荒天予報の中の強行軍でしたが ピーカンの天気になりモンスターを楽しんだ思い出の山でした。
    北の方面は眺望がききませんでしたか?飯豊の山並みが真っ白に連なっていたのが記憶に残っています。

    秋の山もいいですね のんびりと もう一度再訪したい山です。

    • まっちゃん より:

      そうそう、
      西吾妻山、西大巓のモンスター
      自分も次回はスノーハイキングと行きたいところですが、流石に真冬は車中泊は無理なので
      何処かに宿をとってということになるでしょう。

      飯豊の山並みが真っ白なのはかなり遅い春まで見ることが出来るので、会津方面に来ると
      どこからでもその神々しい姿が目につきますよね。

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