昨晩もいくらか風が強かったが、前日の思いがけない歩きの疲れから熟睡することが出来た。
シェードで後ろ半分の窓を覆い、運転席のある前列には自作カーテンを吊るしているため外の光が殆ど車内に差し込まないようになっている。それでも隙間からし込む輝く朝日に促されると寝袋からおもむろに這い出す。車から外に出ると、少しだけ冷たい朝の空気に刺激されて一気に目が覚めた。
夜の間には気が付かなかったが、道の駅の周囲は菜の花畑に囲まれていた。房総は至る所に見事な菜の花畑が見られるが、朝の光線を含んだ色合いは綺麗なものだ。
今日の予定は房総半島の南端をぐるりと一周、途中にミニハイキング付きのドライブ主体のスケジュールである。
まずは館山城。南総里見八犬伝の資料を展示している館山城に向かうもコロナ休館。うーん残念。
出鼻を挫かれた感じだが、気を取り直して先に進む。
海上自衛隊の館山基地の北側をなぞるように進めばそこが沖ノ島。
ぱぁっと開ける海。おおらかな砂浜に続く無人島。夏は海水浴客で賑わうのも頷ける抜けの良さだ。
洲崎に至る少し手前に大山という低山がある。房総半島では一番西にある山で、しかも一等三角点だという。
コース距離や標高差も手軽なのでちょっと寄り道して登ってもよかろう。
(ちなみに、大山より西に三等三角点が二か所存在するがどちらも標高20m以内)
坂田集落にある公衆トイレ前の駐車スペースに車を置き、ついでに着替えをして出発する。
山頂に近づくにつれ西側の谷側に新しい道路が伸び、そして山頂から続く箇所に並ぶ沢山の工事車両、そして重機の絶え間ないエンジン音を聞いていたので”おや”とは思っていたが、実は山頂は工事中?であった。山頂三角点の脇にパワーショベルが二台も並ぶ光景は自分の登山経験で後にも先にも無いのではないだろうか。
三角点の脇で持ってきたパンを齧りながら恨めしそうに見つめる自分を気遣って、作業員の方が上に登ってみますかと声を掛けてくれた。厚意にあずかり工事中の展望台?に登らせて貰い写真撮影。
なかなか景色が良いが、すぐ下に建設中の広々とした平地と道路の存在も気になる。作業員の方に「何を作っているのですか」と尋ねても歯切れの良い答えが無かった。
翌日に歩いた別の山で出会った人の話では、残土の処分場として建設が進んでおり、地元でも反対運動があったが現在も粛々と工事が進行しているということだ。
何が出来上がるのかは判らないが、山頂の景色にに重機が並ぶ画がなんとも物悲しいのだけは確かであった。
20度を超す気温だけに低山といえどもたっぷり汗をかいた。お洒落な公衆トイレで汗を拭って着替えをさせて貰う。
平日の昼間など訪れる人の無いトイレで、寄せては引く波の音を聞きながら着替えをするなんてなかなか贅沢な経験だな。
内房の北部からずっと南下、そして南端から折り返して太平洋側を北に上ってくると海の色が徐々に変わってくるのが見て取れるのが面白い。もちろんこの旅の終盤である九十九里浜に至ると、栃木県民がよく知る茨城の太平洋の色になっていくのだ。
今晩の宿泊地は翌日の登山を考慮して和田浦にある『道の駅 和田浦WA・O!』である。
到着がちょっと早い時間だったので鴨川観光へと繰り出した。
ベイシアに寄り、食料調達のついでにモールにある百均で車内生活改善小物を買い道の駅に戻る。
今日は気温が高いので夜間の温度調節が難しいかもしれないな。
駐車場に車中泊の車は殆ど見られないが、一台の県外ナンバー、いかにも車中泊っぽいその車の外に二着のウェットスーツが干してあったのが印象的であった。