ビギナーズラック



-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 一度は歩いてみたかった冬の那須岳。冬でなくても強風で名高いこの山を積雪の時期に登れるとは考えていなかったが、天気図の示す気圧配置とスケジュールが一致した。好機逃がすまじと思い、珍しく高速代を奮発して北へと車を飛ばした。

 大丸駐車場に到着すると未だ7時半前だというのにかなりの数の車が停まっている。まさに出発しようとしている人も多数。流石はメジャーな山だ。日頃は静かな山歩きを標榜する自分だが、今日はそんな選択肢は無い。いや、此処はそんな事をこだわるような山じゃ無いって事。世間知らずの自分にもたまには世間並みの山歩きをさせようじゃないか。

 駐車場脇から、手すりがてっぺんだけを覗かせている圧雪の登山道を使い、まずは峠の茶屋駐車場へと向けてゆるゆる登る。歩き始めてすぐ6本爪軽アイゼンを履いたが、途中何か所か雪の無いアスファルト道路を横切ることになる。ロープウェイ駅から上は車道またぎが無いので、そこまでは登山靴だけで車道歩き、ロープウェイ駅でアイゼンを装着すれば良かったかもしれない。
 皆さんはと足元を見ると、流行りのチェーンスパイクがかなり多数。山頂まで歩いてみた後でわかった事だが、チェーンスパイクが選択される理由に大いに納得したのだ。

大丸より登山開始
茶臼岳の山稜
朝日岳が見えてきた


 峠の茶屋駐車場に着くと、初めて見る冠雪の朝日岳に胸が躍る。これを見ただけでも満足。いやいやまだ登山は始まっていないぞ。

 トレースは良く締まっているが、雪質はガチガチでは無くなかなか良好だ。もう少し柔らかい雪ならスノーシューでさぞ楽しいことだろう。今日の装備は6本爪軽アイゼン、前爪付き10本爪アイゼン、そしてワカン。結局軽アイゼンしか使わなかったが、場所によっては4本爪でも全然OKだったかもしれない。

峠の茶屋駐車場
ここより登山開始
トレースは良く締まっている


 最近、連続して登っていて調子が良いのか、一休みもせずに一気に高度を上げる。朝日岳や剣が峰の姿が大きくなってくる頃、幾らか風が出てきた。ザックにしまったジャケットを再び着てフードを立てた。朝日岳を眺める平坦な区間では登山道の雪が極端に少なくなり、軽アイゼンといえども歩きにくいことこの上なし。皆さんがチェーンスパイクを選択するのはこの為なのだ。

近づく朝日岳の雄姿
剣が峰のトラバースもこりゃ無理だ
山頂手前の岩峰が見える


 剣が峰のトラバース区間はチャンレジャーのトレースが幾筋か見えるも、みな下巻き・・・というか沢のほうに降りていってしまっている。朝日岳に向かうには剣が峰のてっぺんを超えて行くのがこの季節は定番だそうだが、自分の技量装備ではそのどちらも不可能に近い。命あっての山登りである。

 途中で会話を交わした、いかにも山慣れした感じの方が避難小屋手前の斜面をショートカットして直登していった。
 ここまで登って来る途中、あちこちの斜面を見てむずむずしていた自分だが、流石にこれだけ人が多いと先陣をきって取り付くのも少々憚れるところ。そんな姑息な理由でおとなしくしていたが、目の前にかくも鮮やかに足跡を残されてしまうと、トレースを戴くことを禁じえない。

剣が峰トラバースは皆さん断念の様子
避難小屋見える
ショートカットして上を目指す


 ショートカットを登りきると避難小屋からのルートと合流。下山者と会話中の先行者に追いつき一言お礼を言う。

 このあとはひたすら岩のゴロゴロした区間になるが、幾度となく歩きにくいアイゼンを外そうと思ったくらいだ。
 特徴的な岩峰を下から回り込んでいくと、東側の斜面はしっかりと積雪していた。再びアイゼンが効く斜面を一歩一歩確実に登っていく。

特徴的な岩峰直下より
東側の眺望が始まる
こちらは西側


 頂稜部もまた岩が露出している。再びアイゼンでつまづかないように注意しながらようやく山頂へ到達した。

 風は微風、空には幾らか薄い雲もかかっているがまずは絶好のコンディションと言ってもよいのだろう。360度の眺望に囲まれて、初めての冬の那須岳にしては上出来である。山頂にはショートカットルートで先行した方が一人ですでに風景を楽しまれていた。

そして山頂へ
流石山から三倉山は神々しい
遠くに浮かぶのは飯豊山らしい

奥に高原山
燧ケ岳
会津駒ケ岳


 下山する先行氏に再びトレースのお礼を述べたあとは、しばし一人占めの山頂だ。微風だが、素手でカメラを持つ手はやはり冷たい。いつまでも見ていたい景色だが、後ろ髪を引かれるようにして自分も山頂を後にした。

避難小屋を眼下に見る
それにしてもアルペンチックだね
美しい風紋


 お鉢巡りの後は来た道を戻る。避難小屋まで夏道を歩こうかとも思ったが、結局ショートカットをまた下ってしまった。だって、砂礫の道をアイゼンで歩くのはつまらないじゃないか。

ショートカットルートを再び下る
もう少しで夏道(痕)へ
再び風紋


 帰路もあちこち写真を撮って(出来上がりの歩留まりはよくなかったけれど)なかなか先に進まず。八方ヶ原や霧降高原とはまた違った美しさのスノーフィールドにため息をつくばかりの下山路であった。

いつか踏みたい鬼面山
 
 

峰の茶屋駐車場へ戻ってきた
裏手の斜面を登る人々あり
ロープウェイ駅も春を待つ


 予定通りの下山時間故に本日の山ご飯は無し。かわりにどこかお店で食べようかかなと思うも、那須にあるお店はどこもハイセンスで順番待ちの列ばかり。入るには敷居が高すぎだ。家内と一緒ならともかく、こんなお店で一人食べるのはあの急峻な剣が峰のトラバースを超える以上に困難なことである(笑)。

 車がもうすでに塩原にさしかかろうとする頃、やっと見つけた落ち着いた感じのお店へとハンドルを切った。出てきたお蕎麦は上品な色と香りでなかなか美味。御覧のセットで1,100円はお値打ちだろう。
 そして食後のデザートはお店の裏手からの風景。あの白い頂を、つい先ほどまで間近で眺めていたのだなぁと、贅沢な余韻に浸ることができたのである。

立ち寄りの蕎麦屋”高林坊
これで1,100円はお値打ち
蕎麦屋の裏庭から

概略コースタイム

駐車場発(07:25)-ロープウェイ駅(07:52)-登山口(08:13)-避難小屋手前からショートカット(08:53)-
登山道復帰(09:04)-茶臼岳(09:31)-休憩-行動再開(09:56)-お鉢周り終了(10:06)-登山口(11:03)-
ロープウェイ駅(11:24)-駐車場着(11:43)

カシミール3Dデータ

沿面距離:7.9Km
累積標高差:(±)690m
所要時間:4時間18分
※累積標高差は、『国土地理院基盤地図情報数値標高モデル10mメッシュデータ』よりカシミール3Dにて算出した値

カテゴリー: 那須塩原の山   パーマリンク

ビギナーズラック への10件のコメント

  1. 野球親爺 より:

    やはり茶臼岳でしたか。
    だいぶ満喫されたようで、羨ましい限りです。
    私は冬の茶臼岳にはまだ行ったことがないのです。何となく足が向かず・・・。
    来年こそはですね。

    • まっちゃん より:

      冬の茶臼岳は初めてでしたが、
      まさに風が無く良い山行でした。
      みなさんの記録を読むと強風でホワイトアウト的なのが多くて、
      行っても命がけで楽しくなさそうというイメージが強かったものです。
      ただ、やはり人は多くて、こんなに人が沢山いる山は古賀志山を
      除いて、いつぶりだろうなんて思いました。

  2. とくちゃん より:

    こんばんわ!
    同じく↑やっぱり那須でしたか~!そ~かなって思ってましたが・・・
    好天候の元、満喫されたようで何よりです。夏道でないルートも歩かれたようで、尚なによりです。
    ここビジュアリいいですよね~^^*

    • まっちゃん より:

      とくちゃんの記事に触発されて、遂に冬那須デビューできました。
      とくちゃんのように朝日岳へ行くのは流石に無理でしたが、まずは
      風無く眺望ありで楽しむことができました。
      夏でもビジュアル的に素晴らしいエリアなので冬は一見の価値あり
      眺望ですね。

  3. リンゴ より:

    私が行ったのは1月8日でしたが、流石にその時よりは雪が多い様です。
    麓から眺めても12日は良さそうだな。とは思ってましたが、雪山ハイクには最高の条件が揃っていましたね。
    南会津の山々から真っ白な飯豊連峰まで、眺望も申し分なし。
    穏やかな那須岳に歓迎されて良かったですね。
    私も遠くの白い山が見えるうちにもう1度行きたいです。その前にケツの神経痛を治さないと(^^;)

    • まっちゃん より:

      >穏やかな那須岳に歓迎されて良かったですね。

      まさにその通りだと思います。
      二年前の二月に赤面山に登った時も穏やかな天気だったのを
      思い出します。
      これで今年の運を使い果たしてしまったかも。

      ケツの神経痛はやはり病院行ったほうが良いかもしれませんよ。
      我が家も家内が一年間苦しんで、まだ今も全快しませんが、
      検査して貰えば悪いケースは早期の回避も可能ですから。

  4. chikoやん より:

    ウフフ♪ チェーンスパイク、持ってますよ。(^^)
    こりゃぁ、物欲の神様が、それを持って那須岳へ行ってこい!って
    言ってるのかしらん。(^^;
    それにしても素敵な眺めです。
    ミニ飯豊から本物の飯豊山まで。穏やかな那須岳山頂だったら、
    いつまで眺めていても飽きない神の峰々ですね~。
    あぁぁ、実は、今シーズン、真っ白な会津駒ケ岳に会えていない私。(T_T)

    • まっちゃん より:

      既に自分の中では物欲の火がついてます。

      4本爪軽アイゼンじゃ心許ないし、6本じゃ歩きづらいしといった
      シチェーションに最適。実際、靴が軽く埋まるくらいなら軽アイゼン
      との差が出るのはある程度凍結した斜面かな。
      でもそんなところは12本爪じゃないと危ないですよね。
      そんなに高くないので来年はチェーンスパイクデビューしちゃう予定です。
      あ、問題はどこを歩くかだな(;´∀`)

      茶臼岳から遠くの山が荘厳に見えて、思う所多々。
      今年こそは尾瀬と会津駒デビューするぞーーー

      狼少年にならないように頑張ります。

  5. ケン坊 より:

    こんばんは
    ケン坊は山行に必要と思われる技術や道具に関し
    全く無知なので、皆さんのコメントを読んでても
    正直言って何の事だか良く判りません...
    でも判らないなりに何となく通ずるものを感じてます
    雪山は今後も縁は無さそうですが、素晴らしい
    写真を見ながら実際に歩いてる気分に>笑<

    • まっちゃん より:

      そうですね。
      アイゼンとかスノーシューとかの話になると、実際に使用したことがある
      方でないとピンとこないですよね。

      そこで・・・
      是非来年あたりは八方ヶ原や戦場ヶ原のイベントでスノーシューデビュー
      してみませんか。
      とりあえず雪の中で行動してもOKな防寒着と手袋、帽子があれば、
      スノーシューとストックはレンタルしても僅かな金額で。
      ルートは初めての方でも全く無理のないコースで組まれますから、
      日頃からしっかり歩かれているケン坊さんご夫妻ならまったく問題は
      ないと思いますよ。
      雪の中を自由自在に歩くのを体験してしまうと病みつきになること
      間違い無しです。

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