再訪、雪の八海山神社

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

八海山神社周辺過去の記事
   2010年10月16日 大間々より西平岳
   2010年02月14日 雪の八海山神社
   2007年06月16日 高原山最高峰 釈迦ヶ岳へ登る

 土曜日に太平洋を通過した低気圧が関東地方に大雪を降らせた。今年は雪が少ないと思っていた山だが、この低気圧のお陰で潤沢に雪を纏ったのではないか。今日の気圧配置を見るに心配な強風も無さそうな雰囲気だ。好機到来と考え釈迦ヶ岳ルートの途中にある八海山神社を目指した。
 八海山神社を訪れるのは夏道で通過点として二回、雪のある時期は目的地として今回が二回目である。前回は四年前の丁度同じような時期だったが、写真を見ると全体的に当時のほうが雪深い雰囲気はあるものの、ルートは全体的に踏み固められた感じがあり、登るのに大変苦労した記憶が無い。だが今回は思いの外苦戦したというのが正直な感想である。

 矢板市『泉』の交差点から県道56号線に入り、兵庫畑の左クランクから徐々に高度を上げていく。既に高原山の懐に入っているのではという錯覚にいつも包まれる。冬場になればこのあたりからよほど日なたな部分以外は圧雪とアイスバーンが八方ヶ原まで連続していることが多い。土曜日の雪の影響や如何にと思ったが、意外に道路の雪の量は少なくていささか拍子抜けした。

 山の駅たかはらに着くと駐車場が除雪されておらず進入が出来ない。先客も適当に駐められる場所を探して駐車しているので自分もそれに倣う。車を降りて準備を始めると強い風が時折吹いていた。
 今日は気圧配置を見て強風は無いだろうと考えていたので少し心配になる。八海山神社へ向かう吹きさらしの稜線で強風にに遭うと思うと少しトーンダウンするというものだ。

 歩き出すと、始めは樹林で風の影響も少なく、そのうち風はピタリと止んでくれた。実にラッキーである。ラッキーといえばもうひとつ。山に入って見るとやはり積雪はかなり深く、先行者のトレースを追わないとかなり苦労しそうな雰囲気だ。出だしはスノーシューを履いたが、それでもかなり沈む箇所が多い。緩斜面なら楽しいフィールドだが歩き始めの区間は案外斜度があるので体力を消耗する。

 やがて平坦な部分に差し掛かると随分楽になるが、今回は先行者のトレースに大いに助けられた。先般訪れたニ方鳥屋山のような締まった雪面だとノートーレースでも問題ないが、流石にこの新雪に一番手でトレースを付け続けるのは体力的にかなり厳しそうである。

山の駅たかはらより県道を挟み登り始める
傾斜が緩むと快適なスノーシューゲレンデ
先行者のトレースを追う

 スノーシューを履いた先行者のルート取りが実に巧みなのにも驚いた。夏道を熟知している人のようだ。自分がもしノートーレースで夏道を辿ろうとしても、方角合わせで無理矢理雪面を刻むのが関の山であるが、このトレースは時折木にくくりつけらた説明書きの脇を通り、道標がある箇所をピタリと通過する。木に目印でもあるのかと周囲を見回したがそんな様子も無い。よくよく観察してみると、木が無い部分を選んでいくと(道のある場所と等価)すなわちそれが正しいルートと考えて進んでいるようだ。雪面だとまどろっこしくてショートカットしてしまいそうな箇所も、夏道の目を読み蛇行しながら進んでいく。先行氏の実直さが感じられる。あるいは古いトレースの痕跡でもあったのかもしれないが、自分が追う限り先行者はこのスノーシュー氏とツボ足二名。うち一名は途中からスノーシューに替えた計三名である。
 ツボ足の人は途中かなり深く踏み抜いた箇所があって、靴の大きさからすると小柄な人か女性かといった感じである。40センチ近く沈んでいる所では抜け出すだけで一苦労だったろうにと他人の心配。
 先行スノーシュー氏は小間々から更に夏道へ、残り二名は林道から大間々に向かった模様。自分は夏道に伸びる先行スノーシュー氏を追う。

小間々付近
大間々駐車場が見えてきた

 大間々駐車場に着く頃には結構疲労がたまってきた。もっとも先行氏にトレースを頂いた手前疲れたと言ってはバチが当たるというものだ。八海山神社まではこれから先が核心部である。まずは雄大な景色で一休みとしよう。

男鹿山塊が堂々と
那須の峰々
男鹿山塊アップ

 大間々駐車場から林道を奥へと進む。無雪期であればなんでもない距離だが、雪に足を取られながらだと意外に長く感じるものだ。見晴らしコース入口、すなわち今日の本当の登山口といえる地点まで山の駅たかはらから既に2時間半近くを費やしてしまった。前回の同ルートが雪道でありながら一時間半だったので、丁度一時間余計にかかったことになる。それだけ今回は歩きにくかったということなのであろう。

 ここでスノーシューを脱ぎワカンに換装。前回この先の登路でスノーシューに苦戦し、対向者の軽快なワカンの足捌きに溜息をついたものだ。今回はその時のリベンジとばかりに意気込んできたが、実はこの後ワカン作戦が失敗であることにすぐ気づく。

やっと登山口へ
スノーシューを脱ぎ
ワカンに換装

 先行スノーシュー氏のルート選択は相変わらずお見事。ただ、大間々までの遊歩道と違って、登山区間になると一変して左に切れ込む斜面のヘリを伝うようになる。この区間の夏道は内側にジグザグに付けられており、前回登った時のトレースは純然に夏道通りに付いていた。それが故に切り返しの幅が狭かったりしてテールの長いスノーシューに自分は苦戦したのだ。だが、今回の先行氏はひたすら直線的に登っていく。

 ここで問題だったのは、浮力で劣るワカンでスノーシューの足跡の上を歩くと時折踏み抜いてしまうという点だ。軽さではワカンは秀逸だが、やはりフカフカな雪だと役不足であると痛感。ある程度締まった雪ならワカンの弱い浮力でも充分対応出来るし、軽さは言うまでも無く最大の利点となるだろう。だが、今回のような雪面状況だと選択ミスと言わざるを得なかった。大した重量ではないのにザックに括りつけたスノーシューの重さがやけに感じられるし、たまに踏み抜くと脱出に体力を奪われていくような気がする。斜度があるところで履き替えるのは何かと手間なので、せめて稜線に出るまでの辛抱と決め込んで登っていった。突いたストックの殆どが雪に埋まってしまうような箇所だと間違いなくワカンでも深く踏み抜くというありさまである。

 稜線へ出る少し前から表面がかなり固くしまった場所が出て来た。そんな箇所は楽に通過出来るので足運びも軽やかに。やがて明るい日差しが降り注ぐ道標の場所へ到着。八海山神社から南東に伸びる尾根の末端へ着いたのだ。

有難いトレース
我慢の末ようやく稜線へ

 ここからは暫く穏やかな稜線歩きとなる。雪面は概ね固め。時折フカフカな箇所もあるが踏抜きは随分少なくなった。加えて雲ひとつない爽快な景色に自然と足取りも軽くなる。多少踏み抜いても元気に這い上がれるものだ。

 前回もこの稜線から釈迦ヶ岳と周囲の山を見た時に溜息が出るような感動を受けたものだが、今回もまた裏切ることの無い風景が拡がっている。いつもなら一番乗りでないと納得出来ない踏跡も、今日は大いに助けられた先行氏と共にこの風景を味わうような気分であった。

 八海山神社へ向けて徐々に斜度がきつくなってくると、再び足を取られて登るのに苦労する。だがゴールはすぐそこだ。牛歩の如くじりじりと登るべし。やがて岩混じりで雪が少なくなると、ようやく八海山神社へ到着。先行氏が休憩中であった。
 挨拶だけ交わし、息が整ったらトレースのお礼を言おうと思っていた。どうやら既に準備中だったようで、あっという間に下山してしまった。申し訳ないことをしてしまった。

釈迦ヶ岳が姿をあらわす
右奥に八海山神社が見えてきた

雪深き稜線
もう少しだがなかなか足が出ない
八海山神社へ到着

 今日の計画は剣ヶ峰、大入道経由で周回と考えていた。雪の状態、体力の状態を考えて八海山神社から先は割愛も想定。その場合は林間コースで下山という前回同様のルートに縮小しようと思っていた。カミングアウトしてしまうと、体力的に結構きつかったので、この時点で胸中は下山も稜線をピストンが無難と考え始めた。

 林間コース方面に先行氏のものと思われる踏跡がありスノーシューに履き替えこれを追うと、下り始める所で踵を返している。見下ろすとそこは何も無い一面の雪面が拡がっていた。食事休憩後に数十メートル程降下を試みた。地図を見るに、前半は尾根形もはっきりしておりGPSにも準備万端でデータを落としてある。そう簡単に迷うことは無いだろう。しかし、いかんせんこの深雪。スノーシューをもってしても所々深みにはまってしまうようではこの先2キロのラッセルは流石にリスキーと言わざるを得ない。今の体力残量ではいざという時に登り返す余力は無いだろう。

 また、ここより先、矢板市最高点方面も前回は見られたトレースも今回は無く深く雪に閉ざされている。時間的にもここまで随分掛かってしまっているのでこの先に進むのは危険と判断し断念した。

矢板市最高点へは今回も踏み跡無し
釈迦ヶ岳は遠い
左から羽黒山、半蔵山、鞍掛山、古賀志山、赤岩山

 天気は相変わらず一定しており、気温も思いの外高い。何よりも風が無いのが嬉しい。また前回は食事中にガスに覆われてしまったが、今回は終始好眺望を前にしてゆっくり食事が出来た。鋭気を養ってさぁ下山。
八海山神社からの眺望動画

八海山神社上部は雪が満々と
さて、下山

 ピストン下山だが登りの辛さから開放された分ゆっくりと景色を楽しむことが出来る。美しい風紋や雪の造形をカメラに収めながら行くとこれまた時間が掛かってなかなかな先に進まない。

八方ヶ原の牧場も雪に覆われている
美しい風紋

ミツモチ山方面の直滑降はノートレース

 稜線の末端から、苦労した区間を一気に下るとあっという間に登山口へ到着。でもまだまだ気が抜けない。学校平までは先が長い。

登山口に戻ってきた
林間コースは雪に閉ざされている
影が長くなってきた

 朝歩いてきたトレースはその後沢山の人が往来したようである。大間々駐車場から先は先行氏と自分の二名だけのようだが、学校平~大間々間は我々のトレースがすっかり幅広の道になっていたのには驚いた。『往来が道を作る』を目の当たりにした思いである。
 冬の夕方は素早く訪れる。まだ3時頃だというのに木々の隙間から差し込む日差しはすっかり影を長く伸ばしていた。少し大袈裟かもしれないが、久しぶりに雪と格闘した感のある骨っぽい山行であった。

天気に恵まれた一日だった
冬の夕日は早く訪れる
本日は休業の模様

概略コースタイム

山の駅たかはら発(07:58)-小間々(08:45)-大間々(09:55)-見晴コース登山口(10:25)-稜線へ(11:09)-八海山神社(12:02)-
昼食休憩-行動再開(13:04)-見晴コース登山口(14:11)-大間々(14:26)-小間々(15:08)-山の駅たかはら着(15:44)

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再訪、雪の八海山神社 への12件のコメント

  1. Non より:

     こんばんは。どこまでも抜けるような青い空、という表現がぴったりな、
    素晴らしい天気に恵まれた雪山ハイクだったようですね。行間からも
    まっちゃんさんの喜びがよく伝わってきます(^^)
     それにしても、見慣れているはずの八海山神社から先が、全く
    知らない場所に思えます。林間コースもさらに真っ白い雪面だなんて、
    うーん、私の想像をはるかに超えている… すごいです(^^;)
     先行さんは新雪ふかふかがお好きな方だったのかもしれませんが、
    味のある二人旅だったようで、これもまた良い想い出ですね。

    • まっちゃん より:

      風も無く気温も比較的高めの稜線歩きは最高でした。
      なかなかこう好条件が揃うことは無いですが、今年の運を一気に使ってしまってこの後の山行に響かなきゃいいんですが(^^;

      散歩用スノーシューでもワカンでも及ばない点が沢山期待出来そうな登山用のスノーシューを最近本気で考えてます。来シーズンにはデビューしたいところです。

  2. リンゴ より:

    素晴らしいお天気でしたね。
    私も4~5年前に同じコースをつぼ足で歩いて、踏み抜き、ミニラッセルと難儀した記憶があります。
    これ以降、スノーシューを装着してのスノーハイクに目覚めました(笑)
    それと山の駅たかはらは冬期でも金・土・日・祝日は午前10時~午後3時まで営業しています。

    • まっちゃん より:

      このコースは学校平から大間々までが結構距離があるので歩きがいがありますよね。
      夏道ならさほどでもないのですが、雪面だと結構手こずりますがまたそこが楽しかったりします。
      山の駅たかはらは3時しまいだったのですね。着いたのが4時前だったのですがてっきりお休みと勘違いしちゃいました。
      自分が帰ってきた頃、朝同じ時間帯に出発した人たちが前後して駐車場にいましたが、大間々方面でまったく見かけなかったので牧場のほうかスッカン沢へ皆さん行かれたような雰囲気でした。

  3. ケン坊 より:

    おはようございます。
    もう「まっちゃんやリンゴさん」の行動力には”ただただ驚くばかり”です。
    とても想像もできません。
    山の駅から小間々・大間々へ行くのだって想像を絶するのに...
    その先の八海山神社まで積雪の中を歩くなんて信じられません。
    魔女と一緒にブログを見ながら、シロヤシオの季節に歩いた光景を
    思い出してます。
    それにしても雄大な雪景色には感動です。お疲れさんです。

    • まっちゃん より:

      大間々までならスノーシューハイキングには好適じゃないでしょうか。
      先陣トレースだとちょっと辛いかもしれませんが、誰か歩いて足跡があれば安心ですし楽です。
      厳かとも言える雪面歩き、お薦めですよ。

  4. NYAA より:

    こんばんは。私は、1/25に大入道周回しましたが、踏み跡がほとんどなく、いい雰囲気でした。

    何人かスノーシューで歩いた後から、ワカンでついて行くのが、一番楽でいいとは思うのですが、必ずしも、そうはならないという事例は、非常に参考になります。

    ところで、私は、MSRのライトニングアッセントを使用していますが、これにしてからは、ピッケルを使うことがなくなりました(笑)登りを考えると、MSRのライトニングシリーズしか選択はないと思います。以前使っていたEVOスノーシューもコストパフォーマンスは最高だと思うのですが、EVOシリーズの形状は、急斜面で雪面をなめてしまうという大きな欠陥があります。

    • まっちゃん より:

      ワカンですが、今回は大間々から先はスノーシューの人が一名だけですが、その足跡も深い所では20センチ位あって、そこにワカンで踏み込むと更に沈むといった感じでした。
      ある程度雪が締まっていたり多数の踏み跡があればワカンは最強なんですが、今回は体力を消耗するのみでした。

      「MSRのライトニングアッセント」ですね。やはり。
      ちょっとお値段高めですが、中途半端なものを買って失敗(今の自分)するよりもと考えてます。
      今使っているお散歩用スノーシューに不満を感じてからは、ヒールリフター付きならと考えて安いモデルを探していましたが、いろいろ見ているとやはりライトニングアッセントですね。
      でもこれ買っちゃうと足回りは完璧なので、後は自分自身の体力不足が言い訳になっちゃいそう(笑)

  5. NYAA より:

    私も、ちょっとお試しぐらいと思っていたのですが、あまりに楽しいので、はまってしまい、単独で歩くし、一般的に人が入らない山も歩くので、やはり、最高のものをと考えて、ライトニングアッセントとetrex20を今シーズンから導入しました。ちなみに、登りがいくらか弱いですが、バフバフ感は、樹脂でできているEVOシリーズの方が楽しいです。

    で、これで「今まで歩いてきた山を安定して登れていいな」、ということはなく、やはり「もうちょっと、難しい山行けんじゃね?」となりますよね。今年は、田島愛宕山、田島高倉山で、結構えらい目に遭いました(笑)なだらかな尾根歩きのはずが、山頂付近でアルパインになってました(笑)

    • まっちゃん より:

      実は昨晩、ポチッとしちゃいました。
      25インチメンズです。
      楽天のポイントがいくらかあったのが背中を押しました。
      かなり安く買えたと思うのですが、到着してから今シーズン1回位は試運転いきたいものです。
      前黒山のNYAAさん、さとうさんのルートを研究中ですが、体力がちょっと不安だなぁ。

  6. さとう より:

    おお~!! ついにポチりましたね。きょうあたり届いたのかな? 楽しみですね~! ちょうど積雪も増えましたから前黒山、楽しいと思いますよ。リベンジですね!

    • まっちゃん より:

      決断する時はこんなものですね。
      これで、急斜面でずるずるとはおさらばか。
      でも稲妻のような登りになるにはちと体力不足かな(笑)
      今週末位に届く予定なので試運転は3月に入ってからの予定です。

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