里山行脚の歩き初め

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 真岡より南東部へ進むと、茨城との境に低山の山塊がある。県央に住んでいると聞き慣れない山名や地名だが、昨年ブログ仲間の皆さんが歩いていたのを見て興味が湧いていた。今回は事前下見を経てこの地域の山を一筆書きで周回しようと目論んだ。仏生寺~阿部岡浅間山間で僅か100m程の距離が重複となり残念ではあったが7時間を超す里山巡りに充実の一日となった。

 まずは独立した南高岡浅間山を目指す。先日偵察済なので南高岡公民館へもスムースに到着。二宮尊徳像が見守る前に車を置く。緊急用装備以外は車に残置して荷を軽くして出発だ。

南高岡公民館
二宮尊徳像がある
概念図だが実際この通り

 公民館敷地内にあった素朴な手書きルート図は簡潔にして完璧。下山後改めて見ると実に的を得ていて分かり易い。

 公民館脇を進むと落ち葉が積もる道となる。道幅は広く車でも登れるだろう。やがて行き止まりの墓地脇からいよいよ登山道だ。

公民館の脇を行く
車が上がれるような広い道
突き当りから登山道へ

 尾根筋の下を効率よく巻くようにして付けられた登りやすい道を行き、尾根を2回乗り換えると後は山頂までの電車道だ。途中小ピークで騙されるも一旦下って山頂へと進む。上のほうで笹が出て来たが、足元を見ると刈払の跡がしっかりと見て取れる。阿部岡浅間山方面は地元ハイキングクラブによって整備されているらしいが、こちらもなかなかしっかりと手入れされているようである。

 山頂は伐採されていて360度の眺望が素晴らしい。結果的には今日歩いたルートの眺望の中で一番景色が良いのはこの山頂であろう。

 富士山が見えているなと思い目を凝らすと遠く雪を纏った山が二つ。一つは見まごうこと無く富士山だが、もう一つはどうやら本家の浅間山なのか。

笹が刈り払われ良く整備されている
山頂は360度の好眺望
加波山筑波山方面は幻想的
集落を挟み阿部岡浅間山方面
浅間山?が見えた

 山頂から南へ向けて下山する。結構斜度がきついのでロープが随所に張られているが、世話にならなければならないほどでもない。あっという間に登山口の鳥居へ到着した。山頂の石祠へはこちらが正式な参道なのだろう。奮った文字の案内板が比較的新しく、地元の人に愛されている山であることがうかがえた。

 テクテクと車道を歩き公民館へと戻り、次なる起点の仏生寺公園(山あいの里)駐車場へ向かった。

急坂をひたすら下るとあっという間に下山終了
奮った字の案内板がある
仏生寺公園駐車場

 仏生寺は勝道上人生誕の地であるという。勝道上人といえば日光開山の祖。栃木の山を愛する者として一礼をせずばなるまい。鄙びた感じの山門をくぐり手を合わせた。

 ルート図を見ると寺の奥から登山道が始まるように見えるが、先に行くと何やら作業道のようなものが続いており雰囲気が違う。少し周囲を探すと住職のお宅の脇から道が伸びている。こちらのようだ。
 序盤は広く勾配の緩い道が続く。

勝道上人といえば栃木の山のスーパースター
鄙びた感じの山門が渋い
緩い勾配の広々とした道を行く

 新四国八十八ヶ所ハイキングコースと言われているのが仏生寺の裏山とも言える錫杖ヶ峰を周回するルートだ。コース途中に文字通り八十八の石版に彫られた巡礼僧が彫られている。正確には周回コース以外にも設置されているので、オリエンテーリングよろしくこれを全クリするのも面白いだろう。

 錫杖ヶ峰からは南高岡浅間山の全貌が良く見渡せ、先ほど周回してきたルートが手に取るように良く分かる。また、南に目をやればこれから向かう阿部岡浅間山も間近に見える。

八十八の石版があり巡礼の僧が彫られている
錫杖ヶ峰より南高岡浅間山
こちらは阿部岡浅間山

 自然林の中の良く整備されたルートで多少変化に乏しいが、分岐には道標もきちんと設置されているのでビギナーや家族、小さな子供連れでも楽しめるコースだ。景色は少し悪くなるかもしれないが、春の芽吹きの時期もまた素晴らしいかもしれない。

 二度の分岐を経て阿部岡浅間山へ到着。こちらはスッキリした眺望は無いが、西に鞍掛山を見下ろすことが出来る。日当たりの良い山頂でゆっくりするのも良いだろう。だが今日はまだ先が長いので早々に山頂を辞する。

日溜まりが心地よい
阿部岡浅間山
眼下の鞍掛山

 山頂から西への下山はこれまでの良く整備されたルートとは一変する。通行者も少ないようで、踏跡も落ち葉にかき消されピンクリボンを追うことになる。真岡市がHPでコースマップを掲載しているだけに意外であった。それまでのよく整備された登山道を考えると、初心者の人はやめておいたほうが良いのではないだろうか。せめて「この先は・・・」という道標の一枚が欲しいと思った。
 もう少しで車道といったあたりで向こうから登ってくるおじさんに遭遇。本日初めて会うヒトである。驚いたのは先方で、自分が着ていた黒のフリースがクマにでも見えたのだろうか。大層な驚きぶりであった。

 焼却場の手前に飛び出し車道へ。少し南へ進むと鞍掛山の取付き点だ。道標は無くお札のようなものと古い草鞋が括りつけてあるのが目印。
 地図を出して取り付き点を眺めていたら先ほど会ったおじさんんが車で通りかかり(浅間山に登ってきたにしては早過ぎるので偵察だったのか?)、いろいろと話かけてくる。
 南高岡の浅間山は知っているか?大政山の登山口は解るか?などとどうもこのあたりの常連さんらしい。これから鞍掛山を越えていくと言うと「道がないよ」と引き止めたがる。それでも行くと返事をしたら、「そういう所が好きなんだね」とちょっと残念そう。
 南高岡浅間山から景色が良かったという事を告げると、「昨日も登ったけどガスって駄目だった。ならば今日もう一度登って見るか」と行って世話好きおじさんは去っていった。

マイナーコースのようだ
焼却場脇へ出る
この奥から鞍掛山へ取り付く

 よくよく見てみると地形図の破線道はとうに消失しているようで、ヤマレコに掲載されていたデータを追うことにした。少し進むとバッチリ踏み跡がある。その先も道は荒れているが迷うような箇所は無い。だが山頂に近づくにつれ段々薮っぽくなってきた。なるほど、世話好きおじさんの言うとおりだ。

道は荒れているがルートは明瞭
落ち葉を踏みしめ登っていく
段々藪が濃くなってきた

 登山口から道標は全く無いが、頼りのピンクリボンもいつしか消失。というよりもどこかでルートを外し、古い作業道跡に引き込まれたようである。流石にこれは無いだろうと思わせる行き止まりの激薮を見て引き返そうと思ったが、GPSで見ると上の方に強行突破のほうが早そうである。

 今日は薮は無いとばかり思っていたが、あまりにも平穏な登路だったので隠し味の如く内心ほくそ笑む。結局体の幅より狭い枝の間を泳ぐようにして登ること数分。しっかりとした踏み跡へ復帰する。やはり途中でルートを失ったようである。

ここは行き止まり
結局こんな所を今日も歩いている
ここを登ってきた

 鞍掛山の山頂には文字がかすれてよく読めない山名板が一枚。忘れ去られたような山頂からは里田の風景が枝越しに見え、これから向かう大政山が意外に遠く見える。地味ではあるが静かなその雰囲気を暫し堪能した。自分としては里山の頂とはかくあるべしと考えるお手本のようである。

山名板も色褪せて静かな山頂
岩の向こうは里が拡がる
これから向かう大政山

 山頂から南に下る踏跡もあるが、今日は西側にあるクリーンセンターへ自転車をデポしてあるのでそちらへ下山しなければならない。一旦来た道を戻り西側に伸びる破線道を辿る。破線道と言ってもこちらも踏み跡不明で完全にルーファンコースだ。幅広の尾根下りで明瞭なルート取りは難しいが、地形図には出てこない谷などがありそれを回避すればさほど難しくもない。やがて崩壊地手前で大きく北へ進路を変えるとあとは穏やかな自然林下りとなり最後は畑の中へ飛び出す。

鞍掛山東側もマイナールートのようだ
終盤気持ち良い自然林となる
畑に飛び出して下山終了

 一旦車道へ出てクリーンセンター脇にデポしておいた自転車に跨ぎ、2.5Kmのサイクリングだ。平坦なところは良いがちょっと登りになると結構辛いぞ(^^;

クリーンセンター脇を進み
デポしておいた自転車の元へ
長閑な田舎道をサイクリング

 鏡ヶ池で自転車を降り、大政山ハイキングコースへ。流石にこちらはメジャーコースで道標もルート整備もバッチリ。南ルートで登っていく。ルート途中の様子の写真が無いのは、展望の効かない登りに多少飽きてきたことと、流石に疲れが出て来て大政山の最後の登りが想像以上に堪えたせいかもしれない。

 写真が一気に飛んで展望地へ。やれやれ、ここで昼食としよう。直前に登ってきた中年夫婦と少し時間を挟んで後刻到着のシルバー夫婦。先刻の世話好きおじさんと含めて今日は5人の人と山で会った訳だ。展望地のご夫婦は二組共奥さんが先導して登っているような雰囲気で、旦那さんはいずれも疲れが隠せない様子。ご主人の健康を思ってハイキングに誘ったのであろうか。どこから登って来たのか尋ねなかったが、大政山だけなら手頃なハイキングコースとなろう。

 展望地からは眼下のゴルフ場にプレーする人たちの姿がアリのように見え、時折ショットの金属音が聞こえてくる。上へ目を移すと、南高岡浅間山から今日登って来た阿部岡の山並みまでがよく見渡せる。このエリアからだと群馬の山から始まり県境の山並み、日光連山、高原山に県北の那須まで全て見渡せ、意外に贅沢な眺望である。県央の山だとこうは行かずに日光が主体だったり、あるいは他の特定の山域への眺望で留まってしまうものだ。

 食後は大政山北ルートで下山だ。大政山の山頂は立派な山名板があるが、眺望はほとんど無いのでほぼ通過。

鏡ヶ池のほとりに再び自転車をデポ
大政山の展望地
展望地より

 この山域の特徴はとにかく手付かずの自然林であることに尽きる。この位の標高なら植林されていても良いものだが、全くと言って良いほど針葉樹を見ないのは何故だろうか。もっともそのお陰でサクサクと優しい枯葉の足音の山道を歩くことが出来るのである。

 北ルートのロープ場は流石に落ち葉で足が滑りやすいのでお世話になりながら降りていく。やがて「まんさくの丘2分」の道標を見て寄り道。ぽつんと岩のあるまんさくの丘(212mP)から見る阿部岡浅間山方面はまだ遠い。大政山方面を枝越しに見ると山頂から北東は角釜の集落まで伸びる稜線がなかなか良い感じだ。角釜集落から大政山を越え北関東道の大政山トンネルの真上あたりから南西へ進み蓬田本田集落へと抜けるなんていうのも楽しそうだ。

落ち葉が足に心地よい
北ルートの急斜面はロープがある
まんさくの丘より鞍掛山と阿部岡浅間山

 この後のルートは小ピークをいくつも越えていくことになるが、流石に疲れがボディブローのように効いてきた。時間的には想定内なのでちょくちょく休みを入れながら進むべし。

 今回のルートは一筆書きを目指していたが、残念な事に一部100m程重複箇所を歩く事になった。まぁ良しとしよう。登山道の周囲は薮であるし、これだけ整備されたエリアだから登山道を外すのは申し訳ないというものだ。

 いよいよ下山の最終局面で最後のご褒美、小錫杖からの眺望で南高岡浅間山と大政山へ別れを告げた。

ぽつんと岩があった
小錫杖から南高岡浅間山
大政山も遠くなった

 八十八の石版巡りルートもいよいよおしまいに近くなると駐車場はすぐ目の前だ。春の陽気が良い頃に新四国八十八ヶ所巡りで錫杖ヶ峰を目指すミニ周回も良いのではないだろうか。今回はガッツリ歩いてしまったが、本来はそういった散策ルートをのんびり楽しむのが里山の醍醐味なのかもしれない。

ゴールは近い
駐車場へ帰着
こちらか登るのも良いだろう

番外編

 鏡ヶ池に寄り自転車を回収した後、ケン坊さんのブログで紹介されていて気になっていた磯山に立ち寄ることにした。磯山は栃木県内に13ある一等三角点の中で一番標高が低い。宇都宮市内にある八幡山も有名だが、こちらは158.7m、磯山は104.8mとなる。13箇所の一等三角点もこの磯山をクリアすればあと三箇所(松倉山、稲荷山、早乙女)となるので、残りを制覇するのも面白いだろう。
(松倉山は自転車デポの計画が既に完了。決行を待つのみである)

 ポータブルナビで磯山を入力し、取り敢えず周囲までは行くことが出来た。回りをグルリと走っていると手頃な駐車地が見つかる。適当に斜面を登っていくと階段の周遊路が見つかった。どうやら山全体が公園のようである。

 茜色に照らされる爆弾三勇士の碑の脇から奥に進むと、広場の中心に立派な一等三角点の標石がひっそりと埋まっていた。

適当に登ったら階段を見つけた
広場の中の一等三角点

 

 

概略コースタイム

南高岡公民館(7:43)-南高岡浅間山(8:24)-南高岡公民館(8:56)-
車で移動-仏生寺公園(山あいの里)駐車場発(9:11)-仏生寺(9:17)-錫杖ヶ峰(9:32)-
阿部岡浅間山(9:53)-車道(10:12)-鞍掛山(10:43)-クリンセンター前自転車デポ地1(11:08)-
自転車で移動-鏡ヶ池(11:28)-大政山展望地(12:16)-昼食休憩-行動再開(12:55)-
大政山(13:07)-まんさくの丘(13:29)-165mP(14:14)-小錫杖(14:39)-仏生寺公園駐車場着(15:00)

カテゴリー: 県南・両毛の山   パーマリンク

里山行脚の歩き初め への10件のコメント

  1. ケン坊 より:

    こんばんは。
    ぅわぁ~ まっちゃん凄~い
    ケン坊にはとても実行できない(浮かんだことはありましたが)コース。
    現実、3回に分けてようやく...それでも”鞍掛山”が残ってる>残<
    (鞍掛山は次回と思ってたが、まっちゃんの情報でケン坊には無理と痛感)
    それを一気に踏破するまっちゃんは(いい意味での)化物ですよ。
    下見をしたり、自転車をデポしたり効率的なコースの設定も完璧ですね。
    磯山にも回られたんですか? 呆気に取られてしまいました。
    二つの浅間山と大政山、鞍掛山を歩かれた後ですよね~ 
    磯山の歩行時間は僅かですが、登る気力があるというのが信じられない。
    歩き始めの完遂 おめでとうございます。
    そして一等三角点も残り少ないとのこと...中でも松倉山は実行する
    のみとのこと。報告が楽しいです。
    自転車デポ? どこをどう回るのか今から興味深々です。 ナイス!

    • まっちゃん より:

      皆さんの記録のお陰で効率の良い周回ができました。
      大政山の最後の登りで結構疲れが出てましたし、仏生寺への復路も結構キテました。
      ただ距離はあってもやはり標高差があまりなかったので今日の筋肉痛もありませんでした。
      松倉山は下山路が一工夫です。

  2. Non より:

     こんばんは。まずルート図を見て、まっちゃんさんらしさ全開?と思ったら
    そのとおりで、一気に楽しく拝読しました。チャリも利用して、さすがの一言です。
    さらに言えば、コース整備された山なら、こう歩きたいんだ、という、ご自身の
    静かな主張を垣間見たような気分でした(^^)
     あと、薮越えにほくそ笑まれた場面。なんか、とても良いですね~~
    最後の里山散策の醍醐味を語る行とは、ちょっとギャップがありますが(笑)
     7時間越え… 充実の息抜きでしたね。お疲れ様でした(^^)

    • まっちゃん より:

      薮に出くわした時は、
      『しょうがねーな、薮かよ』と呟きながらも生き生きした自分でしたヽ(*´∀`)ノ

  3. リンゴ より:

    お~っ!このエリアを一気に踏破(走破)しましたか。
    昨年偶然にも真岡市のHPでみつけたハイキングコースでしたが、鞍掛山まで歩いてしまうとはまっちゃんらしいなと思いました。
    大トリに相応しい完璧なルート選択でしょう。
    一等三角点探索も面白そうですが、その存在が忘れ去られたかのような場所もあって意外と探すのが難しかったりします。

    • まっちゃん より:

      このエリアはまさにリンゴさん情報のお陰です。
      あと出しだからちょっと頑張らねばと思い最近弛緩気味の体にムチ打ってきました。
      一等三角点だけでなく二等三角点も追っていくとかなりなボリュームになるかもですね。

      見た感じ、浅間山周辺もまだ面白そうなルートが引けそうな雰囲気です。

  4. 亀三郎 より:

    おはようございます^^

    隙間風が冷たくて、、、変な時間に目が覚めました(汗)
    私は、この山塊は2回!
    阿部岡浅間山と大政山・・・
    まっちゃんのルートは、想像すらしてませんでした^^;;
    でも
    ところどころ懐かしい情景の写真がUPされてて、楽しかったです。
    次は
    南高岡浅間山かな、、なんて思っています。

    • まっちゃん より:

      風邪の具合はいかがですか。
      これから益々寒さが厳しくなりますのでご自愛ください。

      南高岡浅間山は山頂からの景色も良いし、反時計回りルートは穏やかな登りなのでオススメです。
      今度、家内を誘って春になったら再訪しようかと思ってます。

  5. 亀三郎 より:

    松倉山

    私が
    栃木百名山の山名板を
    斜面に落ちてたのを
    拾って付け直したのが
    ちゃんとあるか?
    確認して来て下さい!!
    気になるので
    よろしくお願いします~~~(笑)

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